
義務教育から卒業する高校生。
現在、絶賛義務教育中のお子様をお持ちのパパ・ママは、子供が無事志望校に入れるよう、色々な面で手厚くサポートし、子供と一緒に日々頑張っていることでしょう。
そうした努力の積み重ねが実を結び、無事志望校に進学できたら本当に喜ばしいことですね。
しかし、悩ましいことに必ずしも自分の志望通りに進めるとは限りませんし、子供自ら志望した高校が、学費が超高額で有名な私立高校の可能性もあります。
ひょっとしたら親にとっては頭の痛い話かもしれません…
しかしどちらにせよ、子供の期待にはできるだけ応えてあげたいですよね。
そんなイレギュラーなパターンも含め、色々なケースを想定して将来を見積もっておくことはとても大切です。
備えあれば患いなし、情報を入れ心の準備をしておくだけでも、いざというときの心づもりが全然違はず!
『高校生の学費ってどのくらいかかるの?』
『公立高校と私立高校の学費の差はいくらくらい?』
そんなパパママの疑問や不安が少し和らぐように、今回は学費から見る、高校3年間の支出額について公私高校別に解説します。
もくじ
高校生の学習費はいくらかかる?
冒頭でも触れたように、高校は義務教育ではなくなるので、公立高校・私立高校どちらに進学しても授業料はかかってきます。
しかしその金額は雲泥の差。
では公私高校でどのくらいの差が出るのか、どういったものにいくら支出するのかを、全日制の高校をベースに公私に分けてみてみましょう。
ところで学習費とは、その名の通り、学校やそれ以外で学習にかかった費用のことを言います。
そして学校教育費と学校外活動費に分けられます。
今回は公私高校をこの2つの分野に各々分けて解説します。
公立高校
最初は公立高校から説明します。
私立と比べて全体的に費用が安価なイメージを持ちやすいですが、公立高校ではどのくらいの費用がかかるでしょうか?
学校教育費
学校に通う上で必要な経費はすべて学校教育費とされます。
下記に学校教育費に含まれる項目と公立高校でかかる金額を、文部科学省のデータを参考に金額の大きい順に記しました。
ただしこれは全国平均値ですので、一般的な目安として考えてください。
区分 | 金額 |
通学関係費 | 7万9,000円 |
学校納付金等 | 5万円 |
教科外活動費 | 4万4,000円 |
図書・学用品・実習材料費等 | 4万1,000円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 3万5,000円 |
授業料 | 2万3,000円 |
その他 | 4,000円 |
通学関係費が一番高いですね。
これには制服・鞄の購入費や通学交通費が含まれています。
学生服の購入費の平均単価は、男子が2.1万円、女子が2.5万円くらい。
一式揃えるのに最初はかかりますがその後3年間のうちに買い替えはめったになく、買い替えがあったとしても平均価格は1,200円前後で済みます。
靴に関しても制服よりは購入頻度が高いでしょうが、一足4・5,000円を1年に一回買い替えるか否かほどの頻度でしょう。
一見私服通学の方が色々おしゃれもできるし安く済みそうですが、毎日変える分かえって高くつくかもしれません。
また、遠方の場合は通学交通費が高くなります。
自転車で通える距離にある高校へ入学できたらかなりコストダウンになりそうですね。
通学関係費に続いて金額が高いのが学校納付金。
『私立でもないのになぜ?』と思うかもしれませんが、実はこの中には高校に入学するための受験料や入学金も含まれています。
そのほか冷暖房費、学芸会費など、学校を運営するための経費も学校納付金にあたります。
また、教科外活動費とは主にクラブ活動(部活)や運動会等でかかる経費のことを言います。
高校生は帰宅部を選択する人も多いので、そうした部活の有無や入部する部活の選択によって経費が異なり、個人差が出てくるでしょう。
そしてもう一つ注目したいのが授業料です。
公立学校での進学の中では初めて授業料が発生しましたね。
金額としては他と比べてみても決して大きくない数字ですが、0円からの2.3万円増と考えるとちょっとだけ負担があります。
(それでも私立高校よりはかなり良心的!)
つまりまとめると、公立高校の学校教育費は年間27万6,000円が必要になります。

学校外活動費
学校外活動費とは、以下の区分を総称したものこと。
- 補修学習費:学習塾費、家庭内学習費、家庭教師費といった、学校教育に関係する学習のための支出金
- その他の学校活動費:習い事や地域活動、音楽鑑賞など、知識や技能、感性を身に着けるために費やした経費
それでは世の公立高校生は、どんな学校外活動費にお金がかかっているかをみてみましょう。
補修学習費に圧倒的にお金をかけていることがわかりますね。
その中でも一番割合が多いのはやはり学習塾費。
高校受験戦争に勝ち抜き、喜びもつかの間、今度は大学受験に向けての勉強をスタートさせるようです。
しかしもちろん大学に進学しない人もいるので、その場合は補修学習費が減りますね。
また、その他の学校活動費の内訳をみてみると、
”教養・その他の活動費”や”芸術文化活動費”が多いですね。
教養・その他の活動費に含まれるものには、習字・そろばん、外国語会話といった習い事の月謝や、雑誌購入費、動物園・図書館といった場所への入場料、交通費などがあります。
これを小中学校時代と比べると以下のようになります。
各学習区分で一番活動費が高いものを赤いグラフにしています。
今回金額の差に関しては割愛するとして、こうしてみると小中学校までのスポーツ関係や芸術文化活動から、勉学につながるような習い事や活動へと関心が変わっていっているようでうすね。
そういえば筆者も、高校生の時の習い事はピアノ一本で、放課後はよく図書館へ寄り道していました。
こうした高校生の学校外活動費をまとめると、平均で1年間に約17万5,000円の経費が費やされているとされています。
これらを踏まえて、学校教育費と学校外活動費を合わせてみましょう。
公立高等学校 | ||
1年間 | 学校教育費 | 27万6,000円 |
学校外活動費 | 17万5,000円 | |
合計 | 45万1,000円 | |
在学期間合計(3年間) | 135万3,000円 | |
毎月の費用 | 3万7,600円 |
年間約45万円が必要になりますね。
そして在学期間中の合計を見ると結構な金額ですが、毎月に換算すると約4万円ですので、4万円あればこどもの高校3年間の学習は保障されるということになります。
また、2014年度より文部科学省は”高等学校等修学支援金制度”というものを設けました。
これはある条件を満たした世帯の高校生に対して、授業料を一部支援しようという制度です。
公立高校に至っては、授業料負担がなんと実質0円に!
対象になればかなり大きな金額ですので、受給対象者の要件など高等学校等修学支援金制度に関しての詳しい内容は、以下を参照してください。
高等学校等修学支援金制度(旧制度:公立高等学校授業料無償制・高等学校等修学支援金制度)
こういった制度をどんどん活用していきましょう!
私立高校
公立高校に続き私立高校の学習費について説明します。
私立中学校からの持ち上がりの家庭ではある程度覚悟できますが、公立中学校出身の家庭では急激な金額の引き上げに動揺してしまうかもしれません。
急な進路変更にも慌てないよう、ここでしっかり把握しておきましょう。
学校教育費
公立高校では年間28万円ほど経費が必要だった学校教育費。
当然私立高校ではもっとかかることが想定されます。
それでは私立高校でかかる学校教育費を表でみてみましょう。
区分 | 金額 |
授業料 | 27万2,000円 |
学校納付金等 | 22万8,000円 |
通学関係費 | 10万9,000円 |
修学旅行・遠足・見学費 | 5万4,000円 |
教科外活動費 | 4万5,000円 |
図書・学用品・実習材料費等 | 4万2,000円 |
その他 | 5,000円 |
なんと授業料だけで27万円!
私立高校でも高等学校等修学支援金制度は利用できますが、それでは収まらないような額です。
近い将来、私立高校でも授業料実質0円をはかるような話も聞きますが、絶対とは言い切れません。
こどもが高校へ入学する前からしっかり貯蓄しておいた方がよさそうですね。
また私立高校は学校納付金も桁違い。
私立学校では受験料や入学金も高いですし、施設設備資金というものもかかります。
こうした学校自体への高額な寄附金が年間の金額を上げています。
結果、私立高校の学校教育費をトータルすると、年間75万5,000円かかることに。
月額でも6万円ですので、決して安い金額ではないでしょう。
学校外活動費
金額は違えど、私立高校の学校外活動費の割合は、公立高校と同じような結果になりました。
やはり学習塾費の中で一番割合が高いのは学習塾費ですね。
中学受験で中高一貫校に入学し持ちあがりで高校生になった私立高校生も、大学等への進学に向けて学習に励む生徒が多いようです。
しかし”その他の学校外活動費”に関しては公立高校との差が。
3年間を通して教養・その他費の高かった公立高校に対し、私立高校では芸術文化活動費と”教育・その他”に学年ごとに割合が推移するようです。
理由はさまざまあるでしょうが、高校3年生で教養・その他の活動費が上がるということは、進学へ向けての活動がより活発になってくると予測できますね。
こうした背景のある私立高校生の学校外活動費は、年間28.5万円。
全体的に高めです。
それに学校教育費が加わると以下のような結果に。
私立高等学校 | ||
1年間 | 学校教育費 | 75万5,000円 |
学校外活動費 | 28万5,000円 | |
合計 | 104万円 | |
在学期間合計(3年間) | 312万円 | |
毎月の費用 | 8万6,700円 |
月々8万円は痛い出費です…
公立高校生の月々費用と比べてみても、約2倍の差。
しかし学校外活動費は絶対の出費ではありませんので、工夫次第ではコストダウンも大きくできるところでしょう。
学校教育費がかかる分、学校外活動費を上手に抑えて、賢く生活費に余裕を持たせたいですね。
高校生は学習費以外になにがかかる?
ここまでは公立高校と私立高校でかかる学習費について述べました。
しかし高校生に出費のあるものはこれ以外にもたくさん。
具体的にどんな出費があるでしょうか?
食費
高校生は給食がありません。
その分のお弁当代がかかります。
お弁当を持参する人もいれば、コンビニ等で調達する人も。
また、中学生に引き続き食べ盛りでもあるので、それなりの量と回数が必要になるでしょう。
1回のお昼代が500円位と見込んでも、月々15,000円プラス。
もし今までの食費が3万円くらいだったのであれば5~6万円は想定しておいた方が安心でしょう。
おこづかい
交友関係の広くなり、ある程度自己管理もできるようなる高校生は、お小遣いも増える傾向があります。
友達と買い物へ行っておしゃれを楽しんだり、学校帰りに寄り道したり。
お金をためてちょっと遠いところへ旅行をするための資金が必要になります。
ある調査で2017年のお小遣いの平均金額は5,781円でした。
この金額を参考に月々6,000円のおこづかいとすると、年間7万2,000円。
そこそこの金額になります。
中にはアルバイトをしている高校生もいますが、アルバイト禁止の高校の場合はやはり親からの援助になりますね。
衣類・雑貨等の購入代
おこづかいからやりくり出来ればよいですが、洋服となると数千円のおこづかいでは足らないこともあります。
特に制服のない学校では、毎日学校へ着ていく服が必要になりますね。
あるいは可愛くて流行りの雑貨を友達とお揃いで買ったりするかもしれません。
ある調査によると、高校生が衣類や雑貨等に使う月々の金額は1万円前後。
つまり年間12万円くらいが支出額となります。
ケイタイ(スマホ)代
意外と高いのがこのスマホ代です。
内閣府の調べでは、2017年高校生のスマートフォンの利用率はなんと95%を超えたそう。
全国で95%越えですので、驚異的な数字ですね。
今は小学校からスマホを持っている子供もいますが、上の数字から高校生以降は核実にケイタイ代がかかってくると言えます。
最近は格安スマホの普及や大手キャリアで学生割や家族割料金なども行っています。
そのため一般成人よりも一台あたりの金額は抑えられそうですが、それでも最低3,000円以上は見込んでおく必要があるでしょう。
多くはおこづかいと別ですので、お小遣いと合わせても年間10万円はかかると考えられます。
つまり、学費、食費、それ以外の費用を考えると…
公立高等学校 | 私立高等学校 | ||
1年間 | 学習費 | 45万1,000円 | 104万円 |
食費 |
60万円 |
||
衣類・雑貨等購入代 |
12万円 |
||
お小遣い・ケイタイ代 | 10万8,000円 | ||
合計 | 127万9,000円 | 186万8,000円 | |
在学期間合計(3年間) | 383万7,000円 | 560万4,000円 | |
毎月の費用 | 10万6,600円 | 15万5,700円 |
上記の結果から、高校生一人当たり月々10万円以上の出費があることになります。
そして私立高校の方が公立校よりも学習費の面で2倍以上かかるので必然的に全体費用が高くなりますが、毎月の費用で考えると学習費ほどの開きにはなっていません。
また、前にも触れたように学習費には習い事の月謝や学習のための外出費といった学校外活動費も含まれていますので、学校外活動費の支出が下がれば月々の費用の差も今より縮まることでしょう。
そう考えると、こどもの私立高校への進学にも兆しが見えるのではないでしょうか?
まとめ
今回は高校生になってからかかる費用について解説しました。
大人とも子供とも言い難い、なんとも絶妙に不安定なラインをバランスとって歩き始める高校生。
精神的だけでなく経済的にもまだまだ親のサポートが必要だということがわかりましたね。
しかし手の届かない金額では決してないですし、行政などの力も借りることができるはず。
これから高校生になるお子さんがどんな進路でも安心して進んでいけるよう、今から少しずつ準備をしていってくださいね。

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